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今月の主題 食道sm癌の再評価―食道温存治療の可能性を求めて 序説
食道粘膜下層癌の再評価―食道温存治療の可能性を求めて
著者: 吉田操1
所属機関: 1東京都立墨東病院外科
ページ範囲:P.1255 - P.1256
文献購入ページに移動 食道粘膜下層癌再検討のきっかけ
食道癌の早期診断は最近の20年間で大きく進歩した.内視鏡機器の改良,色素内視鏡検査の開発,粘膜癌(m癌)の病型分類の確立などによって上皮内癌や粘膜癌の発見と粘膜下層癌(sm癌)との鑑別診断は極めて容易かつ確実になり,その病態もよくわかるようになった.その後の内視鏡的粘膜切除法(EMR)の開発と普及によって粘膜癌は食道を温存したまま根治できる時代が到来し,食道癌の早期診断に対する熱意を高めた.EMRの時代は手術中心の時代との間にあまりにも大きな較差を生じたため,食道癌においては粘膜癌を早期癌とする意見にあまり大きな反対がみられなかった.一方,粘膜下層癌については胃や大腸の場合と異なり,食道癌にはリンパ節転移がしばしば合併する,リンパ節転移に対する対策を怠れば食道粘膜下層癌の治療成績は不良となることが明らかである.現在では食道粘膜下層癌に対しては根治手術が行われており,その治療成績は良好である.食道の粘膜癌と粘膜下層癌はそれぞれの治療法に大きな違いがあるが,現時点で確実に治癒せしめうる,という点で再発・転移が頻発する進行食道癌と異なった評価を得ているのである.いま粘膜下層癌を再検討する必要性は,粘膜癌に対する食道温存治療の良好な成績と治療後のQOLの高い点から生じた.この事実が広く知られるに従って,食道を温存しながら癌を治したいという希望を持つ患者が増加した。これまでは粘膜癌と粘膜下層癌との中間的存在であるm3やsm1食道癌に対する食道温存治療に関する社会的要請があり,病態の判明するに従い実現する可能性の高い分野であることを明らかにすることができた1)2).そして患者の希望は必然的に粘膜下層癌に対する外科治療で達成した好成績を維持しながら,食道を温存する治療を希望するようになったのである.
食道癌の早期診断は最近の20年間で大きく進歩した.内視鏡機器の改良,色素内視鏡検査の開発,粘膜癌(m癌)の病型分類の確立などによって上皮内癌や粘膜癌の発見と粘膜下層癌(sm癌)との鑑別診断は極めて容易かつ確実になり,その病態もよくわかるようになった.その後の内視鏡的粘膜切除法(EMR)の開発と普及によって粘膜癌は食道を温存したまま根治できる時代が到来し,食道癌の早期診断に対する熱意を高めた.EMRの時代は手術中心の時代との間にあまりにも大きな較差を生じたため,食道癌においては粘膜癌を早期癌とする意見にあまり大きな反対がみられなかった.一方,粘膜下層癌については胃や大腸の場合と異なり,食道癌にはリンパ節転移がしばしば合併する,リンパ節転移に対する対策を怠れば食道粘膜下層癌の治療成績は不良となることが明らかである.現在では食道粘膜下層癌に対しては根治手術が行われており,その治療成績は良好である.食道の粘膜癌と粘膜下層癌はそれぞれの治療法に大きな違いがあるが,現時点で確実に治癒せしめうる,という点で再発・転移が頻発する進行食道癌と異なった評価を得ているのである.いま粘膜下層癌を再検討する必要性は,粘膜癌に対する食道温存治療の良好な成績と治療後のQOLの高い点から生じた.この事実が広く知られるに従って,食道を温存しながら癌を治したいという希望を持つ患者が増加した。これまでは粘膜癌と粘膜下層癌との中間的存在であるm3やsm1食道癌に対する食道温存治療に関する社会的要請があり,病態の判明するに従い実現する可能性の高い分野であることを明らかにすることができた1)2).そして患者の希望は必然的に粘膜下層癌に対する外科治療で達成した好成績を維持しながら,食道を温存する治療を希望するようになったのである.
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