今月の主題 食道sm癌の再評価―食道温存治療の可能性を求めて
主題
食道粘膜下層癌の病態―病理学の立場から
著者:
藤田昌宏12
安部達也3
細川正夫3
久須美貴哉3
草野真暢3
塚越洋元4
中里友彦4
関屋一都4
矢和田敦4
菅原伸明4
清水勇一5
山本博幸6
所属機関:
1恵佑会臨床病理学研究所
2北海道医療大学
3恵佑会札幌病院外科
4恵佑会札幌病院内科
5北海道大学医学部附属病院光学診療部
6札幌医科大学第1内科
ページ範囲:P.1263 - P.1272
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要旨 食道sm癌切除例217例(扁平上皮癌,外科手術202例,EMR15例)をsm1,sm2,sm3と細分類して予後と関連する腫瘍組織の全体的な病理学的特徴とsmへ浸潤する腫瘍先進部における組織学的特徴の両者から食道sm癌のリンパ節転移の危険性,予後判断に対する危険因子について検討し,sm1群とsm2,sm3群との間に脈管侵襲陽性率やリンパ節転移率に有意な上昇の差を認めた.リンパ節転移の危険性を示唆する上で病理組織像から脈管侵襲,sm浸潤部の広さ,さらにsm腫瘍先進部における癌胞巣の籏出に加えてmatrilysinの発現が有意の差をもって相関を示し,腫瘍先進部の高度細胞異型も重要な所見とする傾向がみられた.