胃と腸37巻11号

2002年10月発行

今月の主題 消化管のvirtual endoscopy

主題症例

下血にて発症した小腸GIST（uncommitted type）の診断にvirtual endoscopyが有用であった1例

著者： 永田正和¹ 芳野純治¹ 乾和郎¹ 若林貴夫¹ 奥嶋一武¹ 小林隆¹ 三好広尚¹ 中村雄太¹ 三浦正剛¹ 高田正夫¹ 加藤芳理¹ 神谷直樹¹ 小田雄一¹ 服部信幸¹ 大谷弘行¹ 近石敏彦¹ 堀部良宗² 今枝義博²

所属機関： ¹藤田保健衛生大学第二病院内科 ²藤田保健衛生大学第二病院病理

ページ範囲：P.1443 - P.1447

文献概要

要旨　症例は49歳，女性．主訴は浮遊感．貧血と下血にて紹介入院となった．下部消化管内視鏡検査（CF）にて大腸と回腸末端部に新鮮血を認めたが，病変は認めなかった．小腸の検索のため，CFにて腸管内に送気されているためCF直後に腹部3D-CTを行った．長径約9cmの腫瘍を認め，virtual endoscopy（VE）にて腫瘍の一部が回腸内腔に突出し，その頂部に陥凹を認めた．以上より，回腸の粘膜下腫瘍および同部位からの出血を疑い，出血が持続したため同日に手術した．Bauhin弁より口側約50cmの回腸にGIST（uncommitted type）を認めた．小腸から出血を呈した腫瘍の診断にVEが有用であった．