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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻12号

2002年11月発行

今月の主題 Ⅰp・Ⅰsp型大腸sm癌

主題

Ⅰp・Ⅰsp型大腸sm癌の臨床病理学的特徴とリンパ節転移危険因子の解析

著者: 八尾隆史1 西山憲一1 高田三由紀1 堤修一1 岩井啓一郎1 中村俊彦1 中村典資1 平橋美奈子1 恒吉正澄1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院形態機能病理

ページ範囲:P.1531 - P.1539

文献概要

要旨 大腸sm癌249例を肉眼型よりⅠp・Ⅰsp型(48例),Ⅰs型(96例),Ⅱ型(105例)の3群に分けて,sm深達度細分類の問題点,それらの臨床病理学的特徴,リンパ節転移の危険因子について検討した.sm深達度細分類においてHaggitt分類や相対分類(sm均等3等分法)はリンパ節転移の予測には有用でなく,粘膜筋板保持群では絶対分類(sm浸潤距離測定法)により評価し,粘膜筋板消失群は粘膜筋板保持群のsm3癌(浸潤距離1,000μm以上)と同等に扱うのが有用かつ実用的評価法と思われた.Ⅰp・Ⅰsp型sm癌は,茎を有する以外はⅠs型と悪性度など臨床病理学的にほぼ同様であり,またリンパ節転移率や転移危険因子は肉眼型により大差なく,他の肉眼型の癌と同様に取り扱ってよいと思われた.Ⅰp・Ⅰsp型sm癌のリンパ節転移危険因子は組織型(中~低分化型)と著明な間質反応のみが有意であったが,深達度,ly,簇出,著明なリンパ球浸潤の欠如も危険因子となりうることが示唆された.Ⅰp・Ⅰsp型sm癌の治療方針は,すべての粘膜筋板消失群と粘膜筋板保持群のsm3以上(浸潤距離1,000μm以上)では外科的切除が原則で,粘膜筋板保持群のsm1またはsm2かつリンパ節転移の危険因子が1つもない症例は,内視鏡的切除のみで根治できる可能性が考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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