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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻12号

2002年11月発行

文献概要

今月の主題 Ⅰp・Ⅰsp型大腸sm癌 主題

Ⅰp・Ⅰsp型大腸癌の深達度診断―治療法決定のために

著者: 松田尚久1 藤井隆広1 池原久朝1 神津隆弘1 角川康夫1 小林望1 大竹陽介1 大野明子1 池松弘朗1 浦岡俊夫1 古谷孝1 蓮田究1 堀田欣一1 小田一郎1 後藤田卓志1 山口肇1 斎藤大三1 斎藤豊2

所属機関: 1国立がんセンター中央病院内視鏡部消化器科 2三井記念病院消化器内科

ページ範囲:P.1559 - P.1570

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要旨 早期大腸癌の深達度診断は,拡大内視鏡や超音波内視鏡の開発・実用化によりかなり精度が上がっている.しかし,隆起型,特にⅠp・Ⅰsp型病変においては,今なお表面型に比べ深達度診断に苦慮することが多い.今回,当院におけるⅠp・Ⅰsp型大腸sm癌185病変におけるリンパ節転移率・長期予後(再発率)の検討から,適切な内視鏡診断法と内視鏡切除の適応基準を各肉眼型別に検証した.まず,内視鏡的に明らかなstalkを有するⅠp型病変においては,stalk invasionを来したものや脈管侵襲・先進部低分化腺癌陽性例においてもリンパ節転移例が1例もなく(0%;0/56),また長期予後の検討においても内視鏡治療先行群は外科手術単独群とほぼ同等の予後が得られたことから,Ⅰp型早期癌は内視鏡切除を第一選択として良い病変であることが示唆された.一方,Ⅰsp型病変については,リンパ節転移率が12.0%(10/83)あり,安易な内視鏡切除は避けなければならない.また,再発率の検討から,再発を来した4例中3例がpolypectomyによる内視鏡治療を先行させた症例であること,さらに長期予後の側面からみた場合でも,内視鏡治療先行群においては,外科手術単独群に比べ有意差はないものの予後不良の傾向がみられたことなどから,明らかなsm浸潤癌と診断されるⅠsp型病変については外科切除を第一選択とするべきであると思われた.しかし,粘膜内癌,sm浸潤癌の深達度診断に迷うようなⅠsp型早期癌に限ってのみ,粘膜下局注を加えることなどの完全切除の試みを行った後に切除し,組織学的確診をもとに追加切除の必要性を決定するという方針が適用されると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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