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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻12号

2002年11月発行

今月の主題 Ⅰp・Ⅰsp型大腸sm癌

主題

Ⅰsp・Ⅰp型大腸sm癌の深達度診断―通常内視鏡および超音波内視鏡を中心に

著者: 菊池陽介1 津田純郎1 頼岡誠1 和田陽子1 山本淳也1 八尾建史1 櫻井俊弘1 松井敏幸1 八尾恒良1 岩下明徳2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.1611 - P.1622

文献概要

要旨 Ⅰsp・Ⅰp型早期大腸癌の深達度診断について通常内視鏡とEUSの立場から当科の成績をもとに肉眼型別に概説した.Ⅰsp型の通常内視鏡によるsm2,3の深達度診断の指標を表面性状より模索したが,びらん・潰瘍などの所見だけでは指標にならなかった.また内視鏡的伸展不良所見の検討ではⅠsp型のsm2,3で出現したものは7病変中1病変のみであった.この理由はⅠsp型病変では深達度sm2,3でも筋層付近まで大量に癌が浸潤していなければ可動性が残り,伸展不良所見を判断することが難しいためと考えられた.EUSによる深達度診断ではⅠsp型は隆起の頭部まで挙上したsm層の形態を描出することが大切で,良好に描出しえた場合にかぎり有用な補助診断となりうると考えられた.Ⅰp型の通常内視鏡による深達度診断でも,表面性状のびらん・潰瘍はm,sm1でも少なからず認められ診断の指標にならなかった.伸展不良所見はpenis like型の茎を呈した1病変のみが茎の柔軟性の欠如として判定できた.茎の形態でもpenis型を呈していればsm2,3と診断できるが,頻度は少なく他の茎の形態は診断の指標にならなかった.EUSによる深達度診断では茎から頭部への連続したsm層の描出が重要であると考えたが,その描出は極めて難しかった.そのため診断率は低率でⅠp型に対するEUSの有用性は低いと考えられた.つまり,Ⅰsp・Ⅰp型癌のsm2,3浸潤を診断する内視鏡的なよい指標は少なく,EUSも困難である.よって現時点では,診断に迷えばEMR後の病理診断でその後の治療を決定することが現実的であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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