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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻12号

2002年11月発行

Topics

大腸sm癌の取扱い―大腸癌研究会sm癌プロジェクトアンケート:病理報告を中心に

著者: 長廻紘1 藤盛孝博2 石黒信吾3 下田忠和4 岩下明徳5 加藤洋6 味岡洋一7 渡辺英伸8 武藤徹一郎9

所属機関: 1群馬県立がんセンター 2獨協医科大学病理学(人体分子) 3大阪府立成人病センター病理 4国立がんセンター中央病院臨床検査部 5福岡大学筑紫病院病理部 6癌研究会癌研究所病理 7新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・病態病理学分野 8新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野 9癌研究会附属病院

ページ範囲:P.1636 - P.1638

文献概要

 はじめに

 大腸sm癌のリンパ節転移陽性率は約10%とされており,大半が内視鏡切除術や腹腔鏡下手術による局所治療により根治が可能である.しかし,現行の大腸癌取扱い規約に準拠すれば,多くの症例が,リンパ節転移がないにもかかわらず,リンパ節郭清を含めた外科的追加腸切除の適応と考えられてしまう.近年の内視鏡機器や手技の改良・進歩によって内視鏡治療の拡大が試みられている中で,いかなる症例にリンパ節郭清を伴う根治的切除術が必要であるかを判断するかは,患者の術後のQOLを考慮する面からも極めて重要であり,リンパ節転移のリスクを考慮した,さらに厳密な大腸sm癌の内視鏡治療後追加治療の適応条件が必要とされている.

 大腸sm癌のリンパ節転移の重要なリスクファクターの1つに粘膜下層への浸潤度からみた大腸sm癌細分類が挙げられる.この浸潤度細分類には相対分類と絶対分類に大別されるが,各施設問でいまだに一致をみていないのが現状である.sm癌の深達度診断という点では,相対分類の有用性は本邦での歴史的背景をみると明らかであるが,今後の大腸sm癌に対する内視鏡治療の適応拡大を考慮すると,共通用語としての深達度診断という点では絶対分類が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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