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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻13号

2002年12月発行

文献概要

今月の主題 胃癌と鑑別を要する炎症性疾患 主題

平坦・陥凹型胃癌と鑑別を要する炎症性疾患

著者: 阿部慎哉1 長南明道2 濱田史朗1 野口哲也3 今野豊3 渋谷大助3

所属機関: 1東北労災病院胃腸科 2JR仙台病院消化器内視鏡センター 3宮城県対がん協会がん検診センター

ページ範囲:P.1671 - P.1678

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要旨 平坦・陥凹型胃癌と鑑別困難であった症例を呈示した,炎症性病変は,健常部との境界がはっきりすることは少なく,一部でも明瞭な境界が存在する場合は胃癌との鑑別を要した.胃炎性病変では,NSAIDsや慢性腎不全に伴うびらん性胃炎や孤立性萎縮粘膜が胃癌との鑑別を要した.びらん性胃炎では抗潰瘍薬の投与,あるいは経過観察により治癒傾向を示すこと,多発傾向があること,基礎疾患を把握すること,などが癌との重要な鑑別点であった.孤立性萎縮粘膜は,なだらかな陥凹と陥凹面の整った血管透見像が鑑別所見として大切であった.潰瘍性病変では萎縮境界の瘢痕やEMR後の潰瘍瘢痕,さらに再発性活動期潰瘍,あるいは大彎側に発生した活動期潰瘍などが胃癌との鑑別を要した.萎縮境界付近の潰瘍瘢痕は肛門側で萎縮粘膜に移行するなだらかな陥凹と陥凹面の整った血管透見像が重要であった.活動期潰瘍はその辺縁が平滑で蚕食像を伴うⅡC面を認めないこと,抗潰瘍薬投与後の経過観察にて治癒傾向を示すことが重要であった.なお,いずれの症例も的確なポイントからの生検により癌を否定することが必要不可欠であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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