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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻13号

2002年12月発行

文献概要

今月の主題 胃癌と鑑別を要する炎症性疾患 主題

びまん浸潤型胃癌と鑑別を要する炎症性疾患

著者: 矢田親一朗1 松本主之1 中村昌太郎1 檜沢一興1 八尾隆史2 飯田三雄1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院病態機能内科学 2九州大学大学院医学研究院形態機能病理学

ページ範囲:P.1701 - P.1714

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要旨 過去22年間にびまん浸潤型胃癌と鑑別を要した非腫瘍性病変のX線・内視鏡所見を検討した.潰瘍性病変を主体とする壁内線維化群11例(胃梅毒,腐食性胃炎,部分的脾動脈塞栓術後の胃病変)では伸展不良の程度はびまん浸潤型胃癌と同様であったが,粘膜面の変化がより顕著であった.一方,胃壁外の炎症を主体とする壁外群5例(Crohn病,膵炎ないし結核性腹膜炎)では癌よりも伸展不良の程度は軽く皺襞腫大も軽度であった.これに対し,浮腫ないし皺襞腫大を主体とする壁内非線維化群15例(胃アニサキス症,急性胃粘膜病変,Ménétrier病を含む巨大皺襞性胃炎)では,伸展不良を欠如するかあっても軽度で,粘膜面の変化に乏しかった.したがって,胃のびまん性非腫瘍性病変では,伸展不良の程度,皺襞の性状,および粘膜面の変化に着目すれば,びまん浸潤型胃癌との鑑別のみならず質的診断がある程度可能と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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