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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻13号

2002年12月発行

文献概要

今月の主題 胃癌と鑑別を要する炎症性疾患 主題研究

Ⅱb・Ⅱcと鑑別を要する胃粘膜平坦発赤病変の拡大内視鏡像―微小血管構築所見の良悪性の鑑別における有用性を求めて

著者: 八尾建史1 岩下明徳2 八尾恒良1 高木靖寛1 原岡誠司2 菊池陽介1 松井敏幸1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.1725 - P.1733

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要旨 内視鏡でⅡb,Ⅱcなどいわゆる胃炎類似型早期癌と鑑別が必要な平坦発赤病変の拡大観察を行い,病変境界部の粘膜上皮下の毛細血管をはじめとする微小血管構築像が,良悪性を鑑別する指標になりうるかを求めた.方法:平坦な胃粘膜発赤病変52病変を対象とした.組織学的所見から発赤胃炎群42例,発赤分化型癌群10例に分類した.内視鏡所見の内訳は,発赤胃炎群は,発赤斑31例,びらん11例,発赤分化型癌群はⅡc 9例,Ⅱb 1例であった.上部消化管拡大内視鏡の粘膜微小血管構築所見を境界明瞭所見,周辺毛細血管消失所見,異型血管増生所見に分類し胃炎群と分化型癌群における所見の頻度を求めた.結果:発赤胃炎群の71.4%は境界明瞭所見,周辺毛細血管消失所見,異型血管増生所見の3所見すべてを認めなかった.一方,発赤分化型癌群では1例の境界が不明瞭であった以外はすべての症例で上記3所見を有していた.結語:今回の検討では症例数が少なく断定はできないが,少なくとも境界明瞭所見,周辺毛細血管消失所見,異型血管増生所見のすべてを認めない平坦発赤病変については,良性の慢性胃炎の可能性が高く,拡大内視鏡観察は,平坦な発赤した癌を見つけるために行われる発赤した慢性胃炎からの無為な生検を減らしうる可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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