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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻13号

2002年12月発行

文献概要

今月の主題 胃癌と鑑別を要する炎症性疾患 主題症例

Helicobacter pylori除菌療法にて改善した胃巨大皺襞症の1例

著者: 樋口勝彦1 田辺聡1 市川順子1 佐々木徹1 木田光広1 小泉和三郎1 西元寺克禮1 大井田正人2

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科 2社会保険相模野病院健診センター

ページ範囲:P.1741 - P.1746

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要旨 症例は72歳,男性.人間ドックの上部消化管造影で胃体部小彎に巨大皺襞が認められ,精査目的に当科紹介受診となった.上部消化管造影では胃体部大彎側に皺襞の肥厚はみられないが,胃体部小彎に周堤様の皺襞の肥厚とNische様の所見がみられた.内視鏡像では胃体部小彎を中心に3条の肥厚した粘膜ひだが縦走し,胃体上部ではひだの屈曲により周堤様を呈していたが,びらん,潰瘍はみられなかった.超音波内視鏡では同部位の粘膜層の肥厚が認められた.組織学的には腺窩上皮のcorkscrew様の過形成と問質の炎症細胞浸潤,粘膜筋板の索状の走行がみられた.迅速ウレアーゼテスト,免疫染色にてHelicobacter pylor(H.pylori)陽性であった.発生部位が胃体部小彎側で非典型的であったが,H.pylori感染に伴う胃巨大皺襞症と診断し,除菌療法を施行した.除菌は成功し,上部消化管造影,内視鏡検査にて巨大皺襞は消失し,組織学的にも改善がみられた.胃巨大皺襞症の成因にH.pylori感染が関連していることを強く示唆する結果と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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