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今月の主題 4型大腸癌とその鑑別診断 序説
4型大腸癌とその鑑別診断
著者: 飯田三雄1
所属機関: 1九州大学大学院病態機能内科学
ページ範囲:P.135 - P.136
文献購入ページに移動 進行大腸癌の大部分は限局性潰瘍形成癌(2型大腸癌)であり,大腸壁全層にわたってびまん性に浸潤増殖する4型大腸癌はまれで,全大腸癌の0.5~1.3%を占めるにすぎない.従来,4型大腸癌の同義語としてscirrhous carcinoma,linitis plastica carcinoma,びまん浸潤型癌などが用いられてきたが,1977年の大腸癌取扱い規約の肉眼分類では4型(びまん浸潤型)大腸癌に統一され,現在に至っている.本症の早期診断は極めて困難であり,そのため予後は不良とされてきた.その理由として,Bonelloらは,①まれな疾患であり,②粘膜面の病変が少なく,壁の浸潤性増殖が中心となるため,血便などの症状が発現しにくい,③X線所見が炎症性疾患に類似している,ことを指摘している.このような背景から本誌23巻6号(1988年)では「びまん浸潤型大腸癌と転移性大腸癌」というタイトルで特集が組まれているが,当時の主題論文2本の検討対象症例数は12例,9例と少なかった.前回の特集から13年経過した現在も,日常臨床において4型大腸癌の診断は相変わらず難しく,時に他疾患との鑑別に苦慮することがある.そこで再び4型大腸癌を本誌主題として取り上げ,その病理学的特徴,画像診断,他疾患との鑑別点などについて,できるだけ多数例の検討結果を基に執筆して頂いた.
4型大腸癌は,病理組織学的にlymphangiosis(LA)型,scirrhous(SC)型,muconodular(MN)型に分類される.すなわち,LA型は,高分化ないし中分化型腺癌が顕著なリンパ管浸潤によって,癌性リンパ管症(lymphangiosis carcinomatosa)と称される進展を示すもので,間質の線維化は強くない.これに対し,SC型は,胃のスキルスに類似し,印環細胞癌,低分化型腺癌が強い間質の線維化を伴って浸潤するものである.一方,MN型は,粘液癌が粘液結節を形成しながら広範囲に浸潤するもので,通常癌性リンパ管症や間質の線維化は伴わない.そのほか,最近,高分化型腺癌が癌性リンパ管症を伴うことなく顕著な炎症細胞浸潤と線維化とともに進展する4型大腸癌症例も報告されている.このように病理組織学的な発育形式から病型分類した場合,各病型で臨床像やX線・内視鏡・生検診断も異なることが予測される.この点について,本特集で検討・執筆される予定である.
4型大腸癌は,病理組織学的にlymphangiosis(LA)型,scirrhous(SC)型,muconodular(MN)型に分類される.すなわち,LA型は,高分化ないし中分化型腺癌が顕著なリンパ管浸潤によって,癌性リンパ管症(lymphangiosis carcinomatosa)と称される進展を示すもので,間質の線維化は強くない.これに対し,SC型は,胃のスキルスに類似し,印環細胞癌,低分化型腺癌が強い間質の線維化を伴って浸潤するものである.一方,MN型は,粘液癌が粘液結節を形成しながら広範囲に浸潤するもので,通常癌性リンパ管症や間質の線維化は伴わない.そのほか,最近,高分化型腺癌が癌性リンパ管症を伴うことなく顕著な炎症細胞浸潤と線維化とともに進展する4型大腸癌症例も報告されている.このように病理組織学的な発育形式から病型分類した場合,各病型で臨床像やX線・内視鏡・生検診断も異なることが予測される.この点について,本特集で検討・執筆される予定である.
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