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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻2号

2002年02月発行

文献概要

今月の主題 4型大腸癌とその鑑別診断 主題

4型大腸癌と鑑別を要する疾患―放射線性腸炎との鑑別

著者: 太田裕之1 飯沼元1 牛尾恭輔2 山本奈津子1 宮川国久1 森山紀之1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院放射線診断部 2国立病院九州がんセンター

ページ範囲:P.193 - P.198

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要旨 放射線治療は進行した子宮頸癌,前立腺癌,膀胱癌,直腸癌などの骨盤内悪性腫瘍や,その再発癌に対する有効な治療方法の1つである.しかし腸管の放射線に対する高感受性から,放射線性腸炎の発生が臨床上問題となることがある.特に照射後6か月から1年以上して発生する晩期型の放射線性腸炎では,びらん,潰瘍などの粘膜側の変化のみならず,広範な腸管壁全層に及ぶ放射線障害により,粘膜下層以深に線維化を来し壁硬化,狭窄を認めることがある.さらには穿孔,瘻孔を生じ,外科治療が必要となる場合もある.鑑別する疾患として,各種の炎症性腸疾患や悪性腫瘍の転移,びまん浸潤型大腸癌(4型大腸癌)が挙げられるが,特に4型大腸癌は予後が不良であることから診断上重要と言える.症状および放射線照射の既往歴の聴取とともにX線二重造影像の詳細な検討により鑑別診断は十分可能であり,臨床において問題となることは少ないと考えられる.また放射線性腸炎の経過中に放射線誘発癌の発生を認めることがあり慎重な経過観察が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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