icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻3号

2002年02月発行

文献概要

--------------------

書評「プラクティカルコロノスコピー 第2版」 フリーアクセス

著者: 武藤徹一郎1

所属機関: 1癌研究会附属病院

ページ範囲:P.258 - P.258

文献購入ページに移動
 大腸内視鏡検査(コロノスコピー)が始められたころ,誰が現在の状況を予想したであろうか.コロノスコピーによらず,数々のテクノロジーの進歩に伴う医療の変化には驚くばかりである.そして,1970年,ロンドンのセント・マーク病院でコロノスコピーを行ったことを思い出している.その器械は70cm,アングルは2方向に120°くらいしか曲がらず吸引も内蔵していない代物で,最新のビデオスコープと比べたらとても内視鏡とは呼べない性能しかなかったが,注腸造影で見落とされたS状結腸癌を発見するくらいの働きはしたのである.その後,ずっとましな機能を有する長いスコープを入手して,プッシュするだけの検査を行っていたが,帰国途中に,当時から既に高名な新谷博士の引き技と回転技に接し,目からウロコが落ちたことを鮮明に思い出す.

 本書の著者,岡本平次博士はその新谷博士の元へ留学され,その技術の粋を学びかつ盗み取って,帰国以来,コロノスコピー一筋に活躍を続けている,この道の超専門家であることはつとに知られている.当時,学会では1人法,新谷法の強力な推進者であるとともに,盲腸までの到達時間○分○秒,到達率○%という記録を更新することでわれわれを常に驚かせていた.たしかに,コロノスコピーは盲腸まで挿入できなければ話が始まらない.しかし,挿入することだけが目的ではなく,疾患と病変に応じて検査の目的が異なることが,コロノスコピーの難しさであり面白さであろう.従来のコロノスコピーの成書は,ややもすると技術あるいは疾患に偏重したものが多かったが,本書は実によく両者のバランスがとれていることが特徴である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら