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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻4号

2002年03月発行

文献概要

今月の主題 Helicobacter pylori除菌に伴う問題点 主題

Helicobacter pylori除菌と萎縮性胃炎

著者: 榊信廣1 小澤広1 佐仲雅樹1 加藤久人1 比島恒和2 滝澤登一郎3 佐藤貴一4

所属機関: 1東京都立駒込病院内科 2東京都立駒込病院病理科 3東京医科歯科大学大学院病理診断科学 4自治医科大学消化器内科

ページ範囲:P.559 - P.568

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要旨 萎縮性胃炎がH. pylori除菌で改善するのか,しないのか,まだ結論が出ていない.その最大の原因は萎縮性胃炎の定量的診断が定まっていないことである.そこで,共同研究による前検討で,萎縮は生検標本全体に占める固有腺の量で評価すること,胃体部小彎が最も鋭敏に萎縮改善を評価できる部位であることを確認した.今回は,除菌治療後3年以上経過を観察したH. pylori陰性化(n)群33例と陽性持続(p)群13例で萎縮性胃炎所見の変化を検討したので,個々の症例提示を中心に報告する.数値化して評価した生検組織学的な検討では,n群の胃体下部小彎では39.4%で,前庭部小彎では15.2%で萎縮が改善した.腸上皮化生は変化に乏しかった.萎縮パターンで評価した内視鏡的萎縮の改善はn群では33.3%であった.p群では改善例はなく,一部で萎縮の進展を認めた.今回の検討では胃体部小彎粘膜を中心に観察してH. pylori除菌で胃粘膜萎縮が改善する症例があることを示した.しかし,腸上皮化生も含めて萎縮性胃炎が改善するか否かの結論を出すためには,さらに長期間検討していく必要があると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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