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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻4号

2002年03月発行

今月の主題 Helicobacter pylori除菌に伴う問題点

主題症例

Helicobacter pylori除菌治療が奏効しなかった表層型胃MALTリンパ腫の1例

著者: 小田丈二1 細井董三1 岡田利邦1 山村彰彦2 大久保力1 水谷勝1 小林宏寿1 大久保明1 大浦通久1 入口陽介1 中村尚志1 益満博1 中井呈子1 山田耕三1

所属機関: 1多摩がん検診センター消化器科 2多摩がん検診センター検査科

ページ範囲:P.595 - P.603

文献概要

要旨 患者は62歳,女性.当センターの間接胃集団検診にて,胃角部前壁にひだの集中,中断と内部に顆粒状変化を伴った不整形の陥凹性病変を指摘され,要精密検査となった.内視鏡および精密X線検査では,胃角部前壁に白苔を伴った溝状のびらんと,それに囲まれた比較的均一な丸みを帯びた顆粒状変化を認め,また体上部大彎に発赤と小顆粒状変化の目立つ不整形の陥凹性病変を認め,MALTリンパ腫と診断した.生検診断もMALTリンパ腫に一致しており,遺伝子検索でもサザンプロット解析にてIG(H)JHの再構成が認められた.胃生検材料の鏡検とrapid urease testでHelicobacter pylori陽性であった.以上より,Helicobacter pylori陽性表層型胃MALTリンパ腫と最終診断し,除菌治療を行った.胃角部前壁の病変は臨床的に改善を認め,生検もMALTリンパ腫の組織所見は消失していたが,体上部大彎の病変は画像上改善を認めず,生検でも依然としてMALTリンパ腫に相当する所見であり,除菌治療が奏効しなかった症例と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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