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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻5号

2002年04月発行

文献概要

今月の主題 cap polyposisと粘膜脱症候群 序説

cap polyposisと直腸粘膜脱症候群(MPS)

著者: 斉藤裕輔1

所属機関: 1旭川医科大学第3内科

ページ範囲:P.627 - P.630

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 直腸の粘膜脱症候群

 直腸の粘膜脱症候群に関する歴史は古く,1829年Cruveilhierが非腫瘍性の直腸潰瘍の1例を報告したことに始まったとされており,1930年代にはLloyd-Daviesが直腸下部の前壁に存在する特徴を報告し“solitary ulcer of the rectum”と呼称した.その後,本症には潰瘍性病変のみならず隆起性病変もみられること,排便習慣の異常が患者背景に多く認められることなどから1969年にMadiganらにより“solitary ulcer syndrome of the rectum;以下SUS”という名称が提唱され,これらの組織学的な特徴として粘膜内の線維筋症(fibromuscular obliteration)がみられること,臨床的に直腸癌との鑑別が必要な疾患で,過大な手術を避けるため本疾患を念頭に置くことの重要性が報告された.一方,同様の組織学的異常は直腸のhamartomatous inverted polypや深在囊胞性大腸炎(localized colitis cystica profunda),腺腫や癌に近接した粘膜,直腸脱の先端粘膜,descending perineum syndrome患者の前壁側の粘膜,まれながら大腸瘻や小腸瘻の先端などにもみられ,prolapseを起こした粘膜に同様の潰瘍が形成されていることが明らかとなり,1983年にDu Boulayらはこれらの変化は粘膜脱による慢性刺激の結果として生じたと考え,SUS,CCPを含めて直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome of the rectum;以下MPS)の呼称を提唱し,現在ではこの名称が広く受け入れられており,本邦でも多くの例が報告されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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