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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻5号

2002年04月発行

文献概要

今月の主題 cap polyposisと粘膜脱症候群 主題

臨床からみたcap polyposis―報告例20例と自験例5例の検討

著者: 赤松泰次1 中村直2 上条寿一2 津金永二2 上条登2 下平和久2 倉石章2 松沢正浩12 清澤研道2 勝山努3

所属機関: 1信州大学附属病院光学医療診療部 2信州大学医学部第2内科 3信州大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.641 - P.650

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要旨 cap polyposisは近年注目されている比較的まれな大腸の炎症性疾患である.原因は不明であるが,大腸の運動機能異常に伴う慢性的な機械的刺激説が有力で,直腸粘膜脱症候群との異同が問題になる.報告例と自験例の計25例について検討した.年齢は20~76歳で好発年齢はなく,女性に多い.症状は粘液下痢ないし粘血便が多い.血液検査所見ではしばしば低蛋白血症がみられ,炎症反応は通常陰性である.内視鏡所見は,典型例では直腸からS状結腸にかけて多発性広基性ポリープを認め,病変の表面には発赤と粘液の付着がみられる.病変の周囲にしばしば小白斑が観察され,介在粘膜はほぼ正常である.一方,病変が右側結腸まで存在したり,発症初期や緩解期には典型像を示さない場合がある.治療は一般に5‐アミノサルチル酸製剤やステロイドは無効で,metronidazoleが有効な症例がある.外科的切除術や内視鏡治療を行っても短期間に再発する場合が多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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