今月の主題 cap polyposisと粘膜脱症候群
主題症例
陥凹性病変を伴い深部大腸まで病変が認められたcap polyposisの1例
著者:
頼岡誠1
櫻井俊弘1
八尾建史1
和田陽子1
菊池陽介1
竹下宗範1
山本淳也1
佐藤茂1
真武弘明1
津田純郎1
松井敏幸1
八尾恒良1
原岡誠司2
岩下明徳2
石見賀正3
所属機関:
1福岡大学筑紫病院消化器科
2福岡大学筑紫病院病理
3いわみ肛門クリニック
ページ範囲:P.727 - P.733
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要旨 患者は61歳,男性.頻回の水様性下痢を主訴に来院.下部消化管内視鏡検査で直腸から上行結腸にかけて半球状ないし平皿状の多発する隆起性病変とS状結腸に陥凹性病変を認めた.病変の頂部は発赤が強く一部には粘液の付着がみられたが介在粘膜は正常だった.病理組織像は陰窩の過伸展と粘膜面を覆う帽子(cap)状の炎症性肉芽組織を認め,特徴的な肉眼像と併せてcap polyposisと確診した.cap polyposisの報告例は近年増加しているが,いまだその病態は十分に解明されていない.また病変が直腸から深部大腸にまで及んだ報告例は極めて少なく貴重な症例と考え報告した.