今月の主題 十二指腸の非腫瘍性びまん性病変
主題
十二指腸の非腫瘍性びまん性病変の診断―潰瘍性大腸炎
著者:
割田悦子12
樋渡信夫1
熊谷裕司2
森元富造2
山下和良2
白木学3
木内喜孝3
増田高行4
児山香5
舟山裕士5
内藤広郎5
佐々木巌5
所属機関:
1仙台赤十字病院大腸疾患センター
2仙台赤十字病院消化器内科
3東北大学消化器内科
4東北大学医療技術短期大学部病理
5東北大学胃腸外科
ページ範囲:P.781 - P.789
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要旨 潰瘍性大腸炎に関連した十二指腸のびまん性炎症を伴った15例を集計し分析した.発症年齢や性比には特徴はなかったが,全例全大腸炎型であった.十二指腸病変の多くは大腸病変に遅れて出現し,5例では大腸全摘後にみられた.内視鏡所見では,主に発赤,びらん,粘膜の粗糙,顆粒状変化や血管透見像の消失,偽ポリポーシス様変化,Kerckring皺襞の消失や腫大など,組織所見では,炎症細胞浸潤や腺管の減少や破壊,陰窩膿瘍,陰窩炎,びらんなどが,潰瘍性大腸炎の大腸病変と類似した特徴的な所見と考えられた.Hp感染は陰性だった.治療では,抗生剤,H2-blocker,PPIなどは無効であり,steroid剤が有効なことが多かった.