今月の主題 十二指腸の非腫瘍性びまん性病変
主題症例
十二指腸にびまん性微細隆起病変と回腸盲腸に腸結核の所見を認めcommon variable immunodeficiencyを合併したランブル鞭毛虫症の1例
著者:
吉田光宏1
平井郁仁1
宇野博之1
頼岡誠1
菊池陽介1
櫻井俊弘1
松井敏幸1
八尾恒良1
原岡誠司2
岩下明徳2
所属機関:
1福岡大学筑紫病院消化器科
2福岡大学筑紫病院病理部
ページ範囲:P.840 - P.847
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要旨 患者は57歳,女性.下痢,下肢の浮腫を主訴に来院.血液検査にて低蛋白血症,低γ‐グロブリン血症がみられた.消化管検査では,十二指腸第2部を中心に球部から上部空腸にびまん性,密在性の微細隆起が認められ,生検にてGiardia lamblia(GL)と診断された.この病変とは別に回腸には輪状潰瘍,萎縮瘢痕帯が,盲腸には短縮と回盲弁の開大,萎縮瘢痕帯が認められ腸結核疑診例と診断した.metronidazoleを投与し自覚症状と低蛋白血症は改善した.十二指腸病変はGL感染の慢性化による変化,回腸病変は結核によるものと診断した.本症例は基礎疾患にcommon variable immunodeficiencyがありGL,結核の重複感染,giardiasisの重篤化による蛋白漏出性胃腸症を呈したものと推測された.