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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻7号

2002年06月発行

今月の主題 炎症性腸疾患と腫瘍(1)潰瘍性大腸炎

主題

潰瘍性大腸炎におけるsurveillanceの実態

著者: 松岡克善1 日比紀文1 岩男泰1 長沼誠1 岡沢啓1 江崎俊彦1 高石官均1 井上詠1 緒方晴彦1 石井裕正1 長谷川博俊2 馬場秀雄2 渡邊昌彦2 北島政樹2 杉野吉則3 向井萬起男4

所属機関: 1慶應義塾大学医学部消化器内科 2慶應義塾大学医学部外科 3慶應義塾大学医学部放射線診断部 4慶應義塾大学医学部病理診断部

ページ範囲:P.903 - P.914

文献概要

要旨 当院における潰瘍性大腸炎に対するsurveilianceの実態を調査するとともに,発見されたcolitic cancer,dysplasia症例を検討した.1997年4月時点でsurveillanceの対象となった長期経過例は114例で,その後の5年間に毎年surveillance colonoscopyを受けていたのは79%のみであり,全患者の平均surveillance colonoscopy回数は1.9回/5年にすぎず,random生検を施行している症例も一部のみであった.しかし,この期間中に発見されたcolitic cancerの予後はおおむね良好であり,欧米の報告に比べて早期癌で発見された症例が多かった.また,報告例を見る限り欧米で行われている1年ごとのrandom生検によるsurveillanceは,物理的にも対費用効果の問題からも実効性は少ないと思われた.今後,長期経過例におけるsurveillanceへの意識を高め,検査に対するcomplianceを維持するとともに,内視鏡観察の精度向上と分子生物学的手法を用いた効率の良いsurveillance法の確立が望まれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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