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今月の主題 炎症性腸疾患と腫瘍(2)潰瘍性大腸炎以外 序説
大腸の炎症と癌
著者: 下田忠和1
所属機関: 1国立がんセンター中央病院臨床検査部
ページ範囲:P.1021 - P.1021
文献購入ページに移動 今月号は潰瘍性大腸炎以外の炎症性疾患に伴う大腸癌の特集である.周知のように潰瘍性大腸炎以外の炎症性腸疾患では長期経過による発癌の頻度は低く,散発的にCrohn病,腸結核,放射線性腸炎,日本住血吸虫症などに併存した癌の症例報告がみられる程度である.そこで本特集ではこれらの炎症性疾患における癌発生の現状がどうなっているか,主として文献考察を行うことになっている.炎症が直接癌発生と関連している証拠は,粘膜に異形成(dysplasia)の存在あるいは高度の再生異型の存在を確認することである.しかしこれらの疾患でその関係を詳細に記載したまとまった報告はほとんどないようである.近年Crohn病に発生する癌は直腸あるいは他部位の瘻孔と関連しているとの報告がなされている.最近ではCrohn病は内科的治療によって経過観察をされることがほとんどで,今後長期経過の症例の増加とともに癌発生例の報告が出るかもしれない.いずれにしても炎症がコントロールされると,潰瘍性大腸炎と同じく癌発生の危険性は低くなり,日本ではますます症例報告が主体となるであろう.しかしこれらの臨床所見ならびに病理所見を十分に記載することが最も重要である,炎症と癌の関係は潰瘍性大腸炎がそうであるように,持続性の炎症が粘膜腺管の細胞動態に異常を来した結果発癌と結びつくと考えられる.また炎症が広範囲に及ぶと発癌の危険性も高いと考えられる.そのようなことが症例報告からある程度その実態が判明できればと思っている.
炎症と大腸癌は第55回大腸癌研究会の主題として取り上げられ,その際,colitic cancerの全国的なアンケート調査が行われた.潰瘍性大腸炎が主であるが,その実態が明らかにされることであろう.また潰瘍性大腸炎では,発癌防止あるいは早期発見のためには,その診断からの経過観察(サーベイランス)のやり方が論議されている.今回は多数例の潰瘍性大腸炎の経過観察を行っている施設の先生方による座談会が組まれている.今後の日常診療における経過観察の方法について何らかの示唆が得られることを期待している.
炎症と大腸癌は第55回大腸癌研究会の主題として取り上げられ,その際,colitic cancerの全国的なアンケート調査が行われた.潰瘍性大腸炎が主であるが,その実態が明らかにされることであろう.また潰瘍性大腸炎では,発癌防止あるいは早期発見のためには,その診断からの経過観察(サーベイランス)のやり方が論議されている.今回は多数例の潰瘍性大腸炎の経過観察を行っている施設の先生方による座談会が組まれている.今後の日常診療における経過観察の方法について何らかの示唆が得られることを期待している.
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