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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻8号

2002年07月発行

文献概要

今月の主題 炎症性腸疾患と腫瘍(2)潰瘍性大腸炎以外 主題

Crohn病の癌化例の検討

著者: 岡本欣也1 岩垂純一1 北村成大2

所属機関: 1社会保険中央総合病院大腸肛門病センター 2社会保険中央総合病院病理

ページ範囲:P.1023 - P.1030

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要旨 過去12年間に当センターで経験したCrohn病の癌化例は小腸癌と直腸癌の異時性癌1例,直腸癌1例,痔瘻癌3例の5例6病変であった.それらの癌化例をもとに臨床病理学的特徴,癌化の発生形式,治療上の注意点を検討した.癌発見時の平均年齢は35歳,Crohn病の病脳期間は14.8年であり,病理組織学的所見では粘液癌5病変,中分化腺癌1病変であった.癌化の発生形式を①びまん性びらん病変からの癌化,②瘻管病変からの癌化,③common cancerに分類した.①のびまん性びらん病変からの癌化は潰瘍性大腸炎のcolitic cancerと同様な発生機序であると考えられた.また狭窄病変の口側や小腸の検索は困難なため,全例に有効なsurveillanceを行うことはできないであろうが,10年以上のCrohn病罹患歴の患者にはできる限り癌を念頭に置いた検索が必要である.特にびまん性のびらん病変や瘻孔病変を有する患者には注意を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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