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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻8号

2002年07月発行

文献概要

今月の主題 炎症性腸疾患と腫瘍(2)潰瘍性大腸炎以外 主題

本邦の報告例からみた腸結核関連大腸癌―萎縮瘢痕帯は高い発癌のポテンシャルを有するのか?

著者: 八尾恒良1 岩下明徳2 八尾建史1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.1036 - P.1046

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要旨 大腸結核に侵された領域内にみられた大腸癌―大腸結核関連大腸癌―の61論文を解析し,以下の成績を得た.(1)病歴,胸写:肺結核などの既往を有する21例では,20例が9~59年前に罹患,治療された病歴を有していた.大腸結核と確診された14年および19年後に腸結核関連大腸癌が発生した2症例がみられた.(2)腸結核関連大腸癌の95%は右側結腸にみられた.(3)肉眼型:2型癌は2例(3.3%)のみ,粘液癌または粘液成分を有するものは42.6%にみられた.(4)癌巣以外の活動性潰瘍は23.0%にみられたにすぎなかった.線維症も萎縮瘢痕帯もなしと記載されたものは1例のみであった.(5)腺腫または異型上皮巣合併例は27.9%であった.萎縮瘢痕帯からの癌化と判断される3報告例がみられた.上記成績に考察を加え,腸結核の萎縮瘢痕帯は癌化のポテンシャルを高めると推測した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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