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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻8号

2002年07月発行

文献概要

今月の主題 炎症性腸疾患と腫瘍(2)潰瘍性大腸炎以外 主題

Crohn病に合併した大腸癌4例の臨床病理学的検討

著者: 八尾哲史1 岩下明徳1 西村拓2 本村明2 古川尚志2 和田陽子2 植木敏晴2 松井敏幸2 八尾恒良2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理部 2福岡大学筑紫病院消化器科

ページ範囲:P.1047 - P.1058

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要旨 Crohn病に合併した大腸癌4例(以下CD合併大腸癌)の臨床病理学的特徴を検討した.さらに,その4例に本邦報告例11例を加え,本邦におけるCD合併大腸癌の特徴をまとめた.自験例を含む本邦報告例15例の特徴として(1)癌の診断時年齢は平均52.7年と若年であった.(2)癌発症までの罹病期間は平均15.2年と長期間であった.(3)発生部位は,すべてCrohn病の病変内に発生し,15例中4例では,その近傍に痔瘻,瘻孔を伴っていた.(4)すべて単発の癌であった.(5)15例中1例に,dysplasiaが認められた.(6)組織型は,15例中7例(46.7%)が粘液癌であった.若年発症,長期の罹病期間,Crohn病の病変内に癌が存在すること,比較的まれな粘液癌を高率に合併していたことより,Crohn病による長期間の炎症性変化が,発癌に関与していることが示唆された.また,通常,非IBD大腸粘液癌はp53過剰発現の頻度は低いのに対し,Crohn病に合併した大腸粘液癌3例すべてにp53過剰発現が認められた.そのことより,Crohn病合併大腸癌でも,潰瘍性大腸炎と同様,p53過剰発現が発癌に関与していると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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