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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻9号

2002年08月発行

文献概要

今月の主題 胃粘膜内癌EMRの適応拡大と限界 主題

標準的適応における胃癌EMRの成績

著者: 井田和徳1 加藤隆弘1 中島知明1 坪井寿人1 小島孝雄1 奥田順一1

所属機関: 1朝日大学村上記念病院内科

ページ範囲:P.1137 - P.1143

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要旨 標準的適応(2cm以下の潰瘍を伴わない,分化型の粘膜内癌)に対する,EMR各術式の開発者を中心とした成績を検証し,EMRの意義と現状での問題点について考察した.これらの報告によると標準的適応に対する一括切除率は腫瘍長径10mm以下62.8~87.2%,11~20mm 42.1~73.7%と満足すべきものではないが,20mm以下の病変に対する完全切除率は一括切除例で84~100%,分割切除例で71.4~94.1%とおおむね良好であった.遺残再発率は1.7~11.9%であり,これらに対して外科手術が施行されたm癌では全例リンパ節転移は認められず,内視鏡の追加治療例でも局所根治が得られている.合併症では出血の頻度は1.3~20%と術式,報告者により異なるが,内視鏡的止血法や保存的治療で全例止血可能であり,また穿孔はcutting法は高率であるが,それ以外の方法では0.8%以下と低率であった.strip biopsy法や吸引法は標準的適応に対しては安全な根治的治療法であると位置づけられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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