今月の主題 胃粘膜内癌EMRの適応拡大と限界
主題
胃EMRの適応拡大:大きさからみて―組織学的検索の重要性と一括切除の必要性:ITナイフを含めた検討
著者:
後藤田卓志1
小野裕之2
小田一郎1
濱中久尚1
蓮池典明1
江口貴子1
山口裕一郎2
斉藤大三1
下田忠和3
所属機関:
1国立がんセンター中央病院内視鏡部
2静岡県立静岡がんセンター内視鏡部
3国立がんセンター中央病院臨床検査部病理
ページ範囲:P.1145 - P.1154
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要旨 国立がんセンター中央病院では,1987年より2001年までに,1,101病変に対するEMRが施行されている.治療前にガイドラインの条件を満たしEMRが施行された772病変のうち治癒切除は579例(75%),非治癒切除は110例,組織学的評価不能は83例であった.当センターの適応拡大基準を満たした329病変における治癒切除は214例(65%),非治癒切除,評価不能は78例,37例であった.一括切除された799病変のうち,治癒切除647例(81%)では遺残再発は認めず,評価不能は35例(4%)であった.分割切除では,治癒切除例においても5例(3%)の遺残再発を認め,評価不能は85例(28%)であった.最近のITナイフを用いたEMRでは,96%(372/388)が一括切除され,評価不能は2例(0.5%)のみであった.正診率に限界がある以上,切除後の正確な組織学的検索は必須であり,そのためには病変は一括で切除されるべきである.