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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻9号

2002年08月発行

文献概要

今月の主題 胃粘膜内癌EMRの適応拡大と限界 主題

未分化型早期胃癌におけるEMRの問題点―病理学的組織学的な立場から

著者: 藤井恭子1 石黒信吾1 真能正幸1 春日井務1 小野寺誠1 宮代勲2 平塚正弘2

所属機関: 1大阪府立成人病センター病理細胞検査科 2大阪府立成人病センター第1外科

ページ範囲:P.1181 - P.1188

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要旨 未分化型早期胃癌(m癌316例,sm癌83例)を対象に臨床病理学的検討を行った.リンパ節転移のない未分化型癌の条件は,以下のごとくであった.m癌では,①腫瘍径が15mm以下,②肉眼型が隆起型・平坦型・潰瘍のない陥凹型,③癌が粘膜表層上2/3にとどまり,粘膜筋板が破壊されていない,④癌が粘膜層の下1/3に浸潤しているか粘膜筋板が破壊されているものでも癌の最深部が分化型腺癌.sm癌では,①腫瘍径が15mm以下,②粘膜下浸潤長が300μm以下,③リンパ管侵襲がなく潰瘍・瘢痕のないもの.以上の条件を1つでも満たす症例であった.以上の結果より,主組織型が未分化型癌のEMRの適応は,m癌では,潰瘍あるいは潰瘍瘢痕がない症例.潰瘍・瘢痕があっても,癌浸潤が粘膜表層2/3にとどまっている症例.sm癌では,潰瘍・瘢痕のない症例で粘膜内・粘膜下層ともに純粋な未分化型でリンパ管侵襲がない症例,潰瘍・瘢痕があっても,深達長が300μm以下でリンパ管侵襲のない症例とするのが妥当であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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