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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻9号

2002年08月発行

今月の主題 胃粘膜内癌EMRの適応拡大と限界

主題

胃EMR後の遺残再発に対する治療―内視鏡的再治療の限界

著者: 中村直1 赤松泰次2 横山太郎2 望月太郎1 川村葉子1 立岩伸之1 進士明宏1 松本晶博1 清澤研道1

所属機関: 1信州大学医学部第2内科 2信州大学医学部附属病院光学医療診療部

ページ範囲:P.1195 - P.1200

文献概要

要旨 EMR後の遺残再発の問題点を提起した.遺残の危険因子は根治度と治療時期と大きさ,病変部位であった.根治度ECでは明らかに遺残のリスクが高く,切除標本の評価の重要性が改めて示された.治療時期は1991年より以前に行った症例でも遺残のリスクが高く,治療手技の未熟さが原因と考えられた.病変の因子として大きさが21~30mm,部位が後壁の病変では遺残が少なく,それ以外の病変では遺残に対するよりいっそうの注意が必要と考えられた.遺残の再発形式は局所再発のみで,リンパ節再発や遠隔転移を起こした症例はなかった.再治療法としては組織学的検討を行える点では再EMRが良い方法であるが,粘膜下層の線維化の問題もあり腫瘍量の少ない場合では高周波焼灼術で十分であり,なかでもアルゴンプラズマ凝固では短時間に広範囲の焼灼が可能で有効であった.遺残再発病変に対して内視鏡的再治療を行う場合は再治療後の経過観察を厳重に行い,内視鏡的再治療によっても癌が消失しない場合にはタイミングを誤らずに手術療法を選択すべきであると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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