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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻9号

2002年08月発行

文献概要

今月の主題 胃粘膜内癌EMRの適応拡大と限界 主題

胃癌EMR後の遺残・再発に対する治療―外科手術例の検討から

著者: 三隅厚信1 村上明利1 本明宜彦2 吉仲一郎1 前田将臣1 松尾彰宣2

所属機関: 1九州癌研究会 2熊本大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1201 - P.1209

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要旨 EMR切除断端における癌遺残によって生じると思われるEMR術後の遺残・再発に焦点を絞って,それに対する追加治療について外科手術例の検討から考察した.今回のテーマであるEMR後の遺残・再発の問題は,EMR切除断端における安全域(またはsurgical margin)の問題と切除断端における癌遺残に起因する術後の遺残・再発のことである.したがって,EMR後の遺残・再発は,EMR後の経過観察による判定ではなく,EMR標本による総合的根治度によって,「胃癌取扱い規約」(第13版)による粘膜切除後の“組織学的断端所見がLM(-)でEAと判断された場合の術後再発を‘再発’”とし,EA以外の場合には癌の遺残が否定できないので“総合的根治度がEBまたはEC後の再発を‘遺残'”と定義するのが望ましい.根治的EMRは,確実に癌が治るという根治性が前提条件であり,ごくわずかでもそれが損なわれる恐れがあれば,いかにQOLの向上という利点がある低侵襲性治療であってもこれを選択すべきではない.EMR後の遺残・再発に対する治療においても同様であり,その治療後の総合評価はすべて根治度が“EA”または“A”でなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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