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文献詳細

雑誌文献

胃と腸37巻9号

2002年08月発行

今月の主題 胃粘膜内癌EMRの適応拡大と限界

座談会

胃粘膜内癌EMRの適応拡大と限界

著者: 小野裕之1 赤松泰次2 鳥居惠雄3 大谷吉秀4 三隅厚信5 滝澤登一郎6 浜田勉7 下田忠和8

所属機関: 1国立がんセンター中央病院内視鏡部(現:静岡県立静岡がんセンター内視鏡部) 2信州大学附属病院光学医療診療部 3京都桂病院消化器センター内科 4慶應塾大学医学部外科 5九州癌研究会 6東京医科歯科大学病理部 7社会保険中央総合病院内科 8国立がんセンター中央病院臨床検査部

ページ範囲:P.1218 - P.1237

文献概要

 浜田(司会) 今日は「胃粘膜内癌EMRの適応拡大と限界」というテーマで,座談会を開きたいと思います.最近,EMRが非常に盛んになり,2001年3月には胃癌治療のガイドラインが公表されて,一般的な適応が一応決まりました.さらに多くの施設で拡大していく方向もみられますので,どこまで拡大ができるか,その拡大における問題点はどこにあるか,先生方に討論をお願いしたいと思います.最初に下田先生に,このガイドラインに簡単に触れていただきます.

 下田(司会) 昨年の3月に日本胃癌学会から胃癌治療のガイドライン(医師用)が出まして,その中で粘膜切除を行える根治可能な胃癌の基準が示されました.たくさんの早期癌の手術例を有している国立がんセンターと癌研の材料の病理学的解析結果から,リンパ節転移のない癌の条件を分化型腺癌で導き出し,早期胃癌に対する粘膜切除の絶対的適応基準が示されました.2cm以内の隆起性の癌と,陥凹型の場合には2cm以内であってもUl(-)の粘膜内癌であるとされています.すなわちUl(+)の陥凹型癌は,適応外とされています.しかし,20mm以上の粘膜内分化型癌あるいはsmに浸潤した癌の中にも,リンパ節転移のない癌はあるのではないかということで,いくつかの施設から詳細な報告が出ております.これらの絶対的適応外の治療を行うときは,ガイドラインの中では患者さんに十分説明を行い,同意の上で臨床研究として行うことになっています,しかし,現時点でも相当数の適応外の早期胃癌に対して粘膜切除術が多くの施設で行われています.拡大治療を求めたときに,どういう条件があればできるかということを本日討論しようということで,よろしくお願いいたします.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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