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今月の主題 胃癌―診断と治療の最先端 序説
胃癌―診断と治療の最先端
著者: 吉田茂昭1
所属機関: 1国立がんセンター東病院内科
ページ範囲:P.7 - P.9
文献購入ページに移動 筆者が胃癌に携わるようになって30年余の年月が過ぎたが,この間の診断,治療の進歩は目覚ましいものがある.その実態を最も雄弁に語っているのは癌死亡統計に見える数字であろう.周知のようにわが国は世界屈指の胃癌の多発国であり,長らく癌死亡の第1位を占めてきた.1990年代に入り,男性の訂正死亡率が肺癌に第1位を譲ったことから(女性は依然として第1位であるが),一般に胃癌は減少しているかのように思われているが,地域癌登録の成績をみると罹患率では依然として圧倒的な第一位を占めている.つまり,“胃癌は減少した”というよりも,むしろ“胃癌になっても死ななくなった”時代が来たと言うべきなのである.
死ななくなった最大の要因は検診の普及による早期診断の全国的な展開と治療技術の進歩によるであろうことは疑いないと思われる.胃癌の早期診断は1960年代に胃潰瘍(III型)や胃ポリープ(I型)といった,形態の明瞭な良性疾患との鑑別によって端緒が開かれ,その後,1970年代には胃潰瘍瘢痕(IIc)や扁平隆起(IIa)との鑑別診断,更に1980年代には慢性胃炎(IIb)との鑑別診断へと展開したが,この間,発見された早期癌の肉眼形態をみると,より不明瞭なもの,平坦なものが増加し,最近では60%以上が粘膜面の微細な色調変化や凹凸によって発見されている1).
死ななくなった最大の要因は検診の普及による早期診断の全国的な展開と治療技術の進歩によるであろうことは疑いないと思われる.胃癌の早期診断は1960年代に胃潰瘍(III型)や胃ポリープ(I型)といった,形態の明瞭な良性疾患との鑑別によって端緒が開かれ,その後,1970年代には胃潰瘍瘢痕(IIc)や扁平隆起(IIa)との鑑別診断,更に1980年代には慢性胃炎(IIb)との鑑別診断へと展開したが,この間,発見された早期癌の肉眼形態をみると,より不明瞭なもの,平坦なものが増加し,最近では60%以上が粘膜面の微細な色調変化や凹凸によって発見されている1).
参考文献
1)Yoshida S, Yamaguchi H, Saito D, et al. Endoscopic diagnosis : Latest trends. In Nishi M, Ichikawa H, Nakajima T and Tahara E (eds). Gastric Cancer. Springer-Verlag, Tokyo, PP 246-262, 1993
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6)Yokozaki H, Kuniyasu H, Semba S, et al. Molecular bases of human stomach carcinogenesis. In Tahara H (eds). Molecular Pathology of Gastroenterological Cancer. Springer-Verlag, Tokyo, pp 55-70, 1997
7)Kato I, Tominaga S, Ito Y, et al. A prospective study of atrophic gastritis and stomach cancer risk. Jpn J Cancer Res 84 : 1137-1142, 1992
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