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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻1号

2003年01月発行

文献概要

今月の主題 胃癌―診断と治療の最先端 主題

早期胃癌X線診断における装置・造影剤および検査法の進歩

著者: 杉野吉則1 熊倉賢二1 今井裕2 栗林幸夫2

所属機関: 1慶應義塾大学医学部放射線診断科 2東海大学医学部放射線科

ページ範囲:P.11 - P.20

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消化管X線における最近の進歩を見てみると,X線装置についてはフィルム―増感紙による直接X線撮影装置に代わって,デジタル化が急速に進んだことである.IIを用いたDRについては,当初,100万画素のシステムが開発されたが,その後400万画素の装置になって,それまでDRの弱点であった空間分解能についてもCFSSに匹敵するようになってきた.DRは被曝線量低減,画像処理,リアルタイム画像表示,連続撮影などの機能が消化管検査に有用である.さらに,ごく最近になって,新たな撮影装置としてFPDが開発された.FPDはDRの利点はすべて具備し,DRの欠点もほとんどが解決されており,今後の進歩が期待される.バリウム造影剤についてはコントラストをよくするために高濃度化が図られると同時に,検査が円滑に行えるように低粘性にしたものが現在の主流となってきた.投与量も100~150mlと従来よりも少なくする傾向にある.それに伴って,検査法も充盈像や圧迫像を撮影しないで二重造影法を主体とするものに変わってきた.

参考文献

1)熊倉賢二,杉野吉則,馬場保昌.胃X線診断学─検査編.金原出版,1992
2)馬場保昌,佐藤清二,富樫聖子,他.馬場塾の最新胃X線検査法.医学書院,2001
3)今村清子,細井董三,馬場保昌,他.胃X線撮影法標準化委員会最終答申案 新・胃X線撮影法(間接・直接)の基準.日消集検誌 40 : 437-447, 2002
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12)杉野吉則,今井裕,布袋伸一,他.消化管デジタル・ラジオグラフィにおけるデジタル補償フィルタの有用性.日医放学会誌 60 : S256-S257, 2000
13)杉野吉則,鈴木和代,栗林幸夫,他.消化管における平面検出器の臨床評価.日医放学会誌 62 : s158, 2002
15)Mackintosh CE, Kreel L. Anatomy and radiology of the areae gastricae. Gut 18 : 855-864, 1977

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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