文献詳細
消化管造影・内視鏡観察のコツ
〔内視鏡観察のコツ〕上部消化管―(1)食道観察の盲点
著者: 村田洋子12 太田正穂3 林和彦3 大井至1
所属機関: 1東京女子医科大学病院消化器内視鏡科 2現:ムラタクリニック 3東京女子医科大学病院消化器外科
ページ範囲:P.1452 - P.1456
文献概要
1. 下咽頭~食道入口部
内視鏡を食道へ挿入する場合,前もってマウスピースを噛んでもらい内視鏡を挿入すると舌,舌根部,喉頭,左梨状窩,食道入口部の観察が行いやすい.しかし右梨状顆は見ていないので,挿入時または抜去時に見る必要がある(Fig. 1).
2. 食道入口部~頸部,上部食道
頸部食道は,常時収縮しているためと感受性の高い場所であるため,患者が動揺している挿入時にはなるべく早く通過する必要があるので,抜く際に見ると良い.この際,送気または嚥下反射により開大させ,収縮と開大両者で観察しながら少しずつ抜いてくる.この領域に多いのが血管腫と粘膜筋板由来の筋腫で,前者の場合は送気し過ぎると隆起が不明瞭となるため送気量には注意が必要である.入口部直下には2.7~22.9%の確率で異所性胃粘膜島がみられる1)2).楕円形で両側にみられる場合,地図状にみられる場合(Fig. 2).平坦な場合,ビロード状粘膜を呈する場合などがある.食道癌との鑑別点は,異所性胃粘膜島は,周囲に白濁した縁取りがある,多発する,平坦で底面がスムーズ,色調が一定の淡い赤色などである.鑑別が困難な場合は生検が必要である.この部位を十分に観察するためにはキャップを用いると良い(Fig. 3).また必要により鎮静剤の投与を行う.
参考文献
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