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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻10号

2003年09月発行

早期胃癌研究会症例

特異な画像所見を呈したアメーバ性大腸炎の1例

著者: 伊藤繭1 清水誠治1 富岡秀夫1 渡邉元樹1 木本邦彦1 関川進2 田中純一3

所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科 2大阪鉄道病院病理部 3田中外科医院

ページ範囲:P.1463 - P.1467

文献概要

要旨 患者は69歳女性で慢性関節リウマチのために治療中であったが,新鮮血下血のために当院に紹介された.大腸内視鏡検査,注腸X線検査で,左半横行結腸に限局した全周性潰瘍を認めた.当初は虚血性大腸炎を疑ったが,病変部からの生検で赤痢アメーバ虫体が証明されたことから,アメーバ性大腸炎の診断が確定した.本症例の画像所見はアメーバ性大腸炎としては極めて特異な像を呈しており,画像所見のみでは診断が困難であった.しかし,潰瘍底の厚く汚い壊死物質の存在と粘液付着からアメーバ性大腸炎を最初から念頭に置くべきであったと反省させられる.生検にあたっては,特に壊死物質や粘液を狙って採取する必要がある.

参考文献

1)林繁和,江崎正則,中村常哉,他.盲腸に限局してみられた赤痢アメーバ症の1例─症例報告と最近10年間における本邦報告81例の検討.Gastroenterol Endosc 25 : 1392-1399, 1983
2)宮岡正明,高瀬雅久,白鳥泰正,他.アメーバ性大腸炎の内視鏡的検討.Progress of Digestive Endoscopy 30 : 54-58, 1987
3)大川清孝,北野厚生,小畠昭重,他.アメーバ性大腸炎─自験例24例の臨床的検討.Gastroenterol Endosc 31 : 65-75, 1989
4)水野芳樹,森正幹,熊田和徳,他.赤痢アメーバ症の大腸内視鏡的検討.Gastroenterol Endosc 39 : 19-25, 1997
5)Monroe SL. Gastrointestinal parasites. In Haubrich WS, et al (ed). Bockus Gastroenterology, 5th ed. WB Saunders Company, Philadelphia, pp3113-3135, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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