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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻11号

2003年10月発行

文献概要

今月の主題 粘膜下腫瘍様の形態を示した消化管癌 主題症例

遡及的に5年間の形態変化が確認できた異所性胃粘膜腺管より発生した胃癌の1例

著者: 安保智典1 佐藤利宏2 今村哲理1 黒河聖1 萩原武1 西岡均1 山崎健太郎1 吉井新二1 森本一郎1 奥田博介1 本谷聡1

所属機関: 1札幌厚生病院胃腸科 2札幌厚生病院臨床病理科

ページ範囲:P.1551 - P.1556

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要旨 症例は,66歳,男性.再発性十二指腸潰瘍のため,1983年より当科へ不定期に通院していた.1997年5月の上部消化管内視鏡検査の際,十二指腸潰瘍の再発と胃体下部大彎後壁に,ひだの融合と中断を伴った粘膜下腫瘍様病変を認めた.2年後(1999年),中央部に不整な陥凹を有する粘膜下腫瘍様のIIa+IIcへと形態が変化したため,診断確定のために内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理学的検索では粘膜下異所性胃粘膜腺管の癌化と診断された.癌は粘膜面には露出しておらず,陥凹境界部に生じた不整所見の原因は不明であった.異所性胃粘膜腺管の癌化は極めてまれである.遡及的ではあるが5年間の内視鏡所見の変化も併せて報告した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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