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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻11号

2003年10月発行

文献概要

今月の主題 粘膜下腫瘍様の形態を示した消化管癌 主題症例

粘膜下腫瘍様の形態を呈し術前診断が困難であった胃粘液癌の1例

著者: 上堂文也1 飯石浩康1 石黒信吾2 佐多弘1 荻山秀治1 福嶋良志幸1 梶本仙子1 東野晃治1 杉本直俊1 石原立1 楢原啓之1 竜田正晴1 高地耕3 宮代勲3 池島重太4 矢田克嗣5

所属機関: 1大阪府立成人センター消化器内科 2大阪府立成人センター病理検査科 3大阪府立成人センター外科 4池島胃腸科内科クリニック 5今里胃腸病院

ページ範囲:P.1557 - P.1561

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要旨 患者は70歳代男性.1998年に胃体中部大彎の隆起性病変を指摘,経過観察中に病変の増大を認め,2001年2月精査希望し当科を受診した.胃体中部大彎に3×2.5cm大のbridging foldを伴う隆起性病変を認めた.中央に不整形の陥凹を認めたが表面粘膜は平滑で,潰瘍辺縁にも明らかなIIc面はなかった.近接像で陥凹内に白苔と透明の液状の物質が混在し,同部からの生検は炎症細胞と粘液のみで異型上皮細胞はなかった.超音波内視鏡で,第2層から第4層にかけて内部にびまん性小斑状高輝度エコーが散在する低エコー腫瘤を認めた.外科切除標本で,腫瘤は粘液塊と少数の異型細胞からなり,表面粘膜内に癌組織はなかった.mucinous adenocarcinoma,pType2,pT2(ss),ly0,v0,med,INFα,pN0(0/31)と診断された.

参考文献

1)福山隆之,平岡哲朗,蜂谷勉,他.粘膜下腫瘍様形態を呈した胃癌─内視鏡的検討を中心に.消化器科 8 : 158-170, 1988
2)河田佳代子,石黒信吾,辻直子,他.粘膜下腫瘍様形態を示す胃癌の臨床病理学的特徴.胃と腸 30 : 739-746, 1995
3)Songur Y, Okai T, Watanabe H, et al. Preoperative diagnosis of mucinous gastric adenocarcinoma by endoscopic ultrasonography. Am J Gastroenterol 91 : 1586-1590, 1996
4)Wu CY, Yeh HZ, Shih RT, et al. A clinicopathologic study of mucinous gastric carcinoma including multivariate analysis. Cancer 83 : 1312-1318, 1998
5)Yasuda K, Adachi Y, Shiraishi N, et al. Pathology and prognosis of mucinous gastric carcinoma. J Surg Oncol 76 : 272-277, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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