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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻11号

2003年10月発行

文献概要

今月の主題 粘膜下腫瘍様の形態を示した消化管癌 主題症例

胃壁内の異所性胃腺より発生した胃癌の1例

著者: 西中秀和1 児玉和彦1 岩村道憲1 中野龍治2 平田静弘1 三宅純1 和田邦敬1 中野徹1 真鍋英夫1 村上冬彦1 西方不二彦1

所属機関: 1九州厚生年金病院外科 2九州厚生年金病院病理

ページ範囲:P.1562 - P.1566

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要旨 患者は70歳,女性.主訴は食後の心窩部不快感.上部消化管造影検査および内視鏡検査にて胃体上部大彎に中心に陥凹を伴う粘膜下腫瘍様病変が認められ,3回目の生検にて中分化型腺癌と診断された.胃全摘術を施行した.切除標本では隆起病変の大きさは20×15mmで,中心の陥凹部は8×8mmであった.病理組織学的所見はtub2,sm,ly1,v1,n0で,癌の進行度はT1,N0,P0,H0,M0,stage IAであった.癌病変はすべて粘膜下層に存在し,癌病変周囲には胃底腺を含む正常な胃粘膜が併在し,粘膜筋板は認められなかった.以上より粘膜下層の異所性胃腺より発生した胃癌と考えられた.

参考文献

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3)小松信男,新井一成,河村正敏,他.粘膜下腫瘍様形態を呈した胃癌の1例.昭医会誌 56 : 542-546, 1996
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6)岩永剛.胃における多発性粘膜下囊腫と癌.癌の臨 19 : 971-979, 1973
7)岩永剛,古河洋,石黒信吾.胃粘膜下びまん性異所腺の102例の検討による胃癌発生機序に関する研究.最新医学 41 : 2418-2426, 1986
8)荒木京二郎.胃粘膜下異所腺を併存する胃癌について.大阪医大誌 42 : 208-212, 1983
9)太平周作,長谷川洋,小木曽清二,他.粘膜下異所性胃腺より発生したと考えた粘膜下腫瘍様形態を呈した早期胃癌の1例.胃と腸 37 : 233-237, 2002
10)松永元里,幕内博康,大谷泰雄,他.粘膜下腫瘍の形態を示し術前に確診が得られなかった高分化型早期胃癌の1例.胃と腸 30 : 827-832, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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