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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻12号

2003年11月発行

文献概要

今月の主題 上部消化管拡大観察の意義 主題

胃粘膜の拡大観察―胃潰瘍の再生粘膜診断

著者: 大井田正人1 長場静香2 谷川一志2 樋口勝彦3 西元寺克禮3

所属機関: 1社会保険相模野病院健康管理センター 2社会保険相模野病院内科 3北里大学東病院消化器内科

ページ範囲:P.1674 - P.1678

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要旨 胃潰瘍辺縁の再生粘膜模様について述べた.潰瘍が活動期(A2 stage)になると,周辺粘膜から潰瘍底に向かい1層の再生上皮である“無構造な平坦部”が観察された.この再生粘膜には,微小な再生血管が観察できた.さらに,再生が進行すると柵状,紡錘状,結節状の粘膜へと移行していた.易治性の潰瘍では,治癒期に柵状や紡錘状の粘膜が潰瘍周辺に広い範囲でみられた.一方,難治性の潰瘍ではこれらの割合が少なく,結節状の粘膜が多かった.また,瘢痕期に再生粘膜をみるものは易再発性であった.H. pylori除菌成功例では,再生粘膜模様は消失していた.胃潰瘍の拡大観察は,潰瘍の難治性さらには再発の有無の判定には有用である.しかし,拡大観察を普及させるには新たな展開が必要である.

参考文献

1)小倉剛.オリンパス製拡大内視鏡の機構とその特長.消化器内視鏡 13 : 458-463, 2001
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3)榊信広,岡崎幸紀,竹本忠良.拡大内視鏡観察による胃潰瘍の治癒判定.胃と腸19 : 979-986, 1984
-blocker投与での胃潰瘍治癒過程における再生粘膜模様の比較.Gastroenterol Endosc 35 : 1282-1289, 1993
5)星原芳雄,橋本光代.電子内視鏡.中沢三郎,森賀本幸,岡崎幸紀(編).日本消化性潰瘍学.医科学出版,pp755-764, 1995
6)大井田正人,西元寺克禮,岡部治弥.拡大内視鏡による胃潰瘍の経過と再発.丹羽寛文(編).胃内視鏡検査の実際.中外医学社,pp158-170, 1993
7)榊信廣.拡大内視鏡.中沢三郎,森賀本幸,岡崎幸紀(編).日本消化性潰瘍学.医科学出版,pp746-754, 1995
8)八木一芳,中村厚夫,関根厚雄.H. pylori胃炎除菌前後の拡大観察,臨牀消化器内科 16 : 1547-1554, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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