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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻12号

2003年11月発行

文献概要

今月の主題 上部消化管拡大観察の意義 主題

十二指腸における隆起性病変の拡大観察とその診断学的意義

著者: 田中三千雄1 薄田勝男1 大倉康男2 藤盛孝博2 伊藤博行3 七澤洋3 折原正周4 岩本真也4 槇本伸哉4 品川和子4 坂東毅4 小尾龍右5 野上達也5 ガブリエラ智子宮崎6

所属機関: 1富山医科薬科大学光学医療診療部 2獨協医科大学病理学(人体分子) 3高岡市民病院胃腸科 4富山医科薬科大学第3内科 5富山医科薬科大学和漢診療学 6州立サンパロウ大学消化器内視鏡科

ページ範囲:P.1709 - P.1720

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要旨 十二指腸における各種の隆起性病変(直径1cm以上)41例を対象に,拡大内視鏡検査を施行した.それらの病変を診断する際の観察ポイントと拡大内視鏡の診断学的意義は,以下のようにまとめることができた.①拡大内視鏡では絨毛の外形とサイズ(正常絨毛との比較)を把握することが最も重要である.②拡大内視鏡が最も有用な疾患は,Brunner腺腫と胃上皮化生による隆起性病変である.③腺腫と早期癌の鑑別のための拡大内視鏡の有用性の有無については,現時点においては明らかでない.④腺腫の絨毛の白色化は,吸収上皮細胞内の脂肪粒の蓄積によるものと考えられるが,拡大内視鏡診断との関連性については今後の課題である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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