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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻13号

2003年12月発行

文献概要

今月の主題 消化管への転移性腫瘍 主題

転移性胃腫瘍の形態的特徴―X線像を中心に

著者: 浜田勉1 近藤健司1 北條裕美子1 奥田圭二2 北村成大3 八巻悟郎4 東馨4 加治文也5 成田静子6

所属機関: 1社会保険中央総合病院内科 2社会保険中央総合病院放射線科 3社会保険中央総合病院病理 4こころとからだの元氣プラザ 5設計事務所健康保険組合健康管理センター 6成田医院

ページ範囲:P.1773 - P.1784

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要旨 胃転移性腫瘍の形態的特徴についてX線像を呈示して述べた.胃の転移性腫瘍の多くは脈管を経由する血行性転移で,原発巣としては肺癌,食道癌,乳癌などあり,隣接臓器からの直接胃壁への浸潤はまれである.血行性転移の形態は基本的に粘膜下腫瘍の形態であり,頂部が潰瘍化して中心陥凹を形成しやすい.腫瘍径に比較して大きくて深いのが特徴でbull's eye sign(牛眼像),target sign と称される.また,腫瘍がまだ小さい例でもすでに明らかな潰瘍形成を来すたこいぼびらん様の小隆起として観察され,病変が多発すれば診断が容易である.乳癌の転移では胃壁が硬化し,粘膜ひだが肥厚するlinitis plastica様所見を呈することもある.転移性胃腫瘍は比較的小さい時期には無症状なため,臨床で胃転移が診断されることは少なく,ほとんどは剖検で発見されてきたが,今後は検査においてこれらの所見を十分認識する必要があると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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