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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻13号

2003年12月発行

文献概要

今月の主題 消化管への転移性腫瘍 主題症例

多発する表面型病変を形成した胃癌原発転移性大腸癌の1例

著者: 松永心祐1 富岡秀夫1 清水誠治1 大野崇1 辻本隆1 渡邊元樹1 上尾太郎1 本庶元1 光本保英1 森敬弘1 平山哲也1 鹿田潮1 伊藤正1 木本邦彦1 関川進2 石黒信吾3

所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科 2大阪鉄道病院病理 3大阪府立成人病センター病理

ページ範囲:P.1862 - P.1868

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要旨 胃癌切除後約8年を経過して大腸に多発性転移を来した68歳女性の症例を経験した.注腸X線および大腸内視鏡検査で全大腸および回腸終末部に径5~20mmでIIa型ないしIIc型の表面型病変が約40個観察された.10個の病変を内視鏡的に摘除したところ,すべての病変が印環細胞癌であり,粘膜下に微少浸潤を認めた1病変を除き粘膜固有層に限局していた.以前の胃癌は胃体部のIIc様印環細胞癌で深達度はmpであり胃全摘術と脾臓摘出術が行われており,1個のリンパ節転移がみられていた.胃癌と大腸病変での粘液形質を免疫染色で検討したところいずれも胃型の形質を示したため,大腸病変は胃癌の転移と考えられた.胸腹部のCTで転移巣やリンパ節腫大は描出されなかったが,骨髄生検で印環細胞癌が証明されたことから,転移経路は血行性であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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