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文献概要
今月の主題 腸型Behçet病と単純性潰瘍の長期経過 序説
腸型Behçet病と単純性潰瘍―混沌とした疾患の再構築をめざして
著者: 多田正大1
所属機関: 1多田消化器クリニック
ページ範囲:P.147 - P.149
文献購入ページに移動 腸型Behçet病も単純性潰瘍もすこぶる奇妙な腸管の炎症性疾患である.病理学的には単純な炎症であるものの,病因から病態,治療法はよくわからない疾患である.一応,非特異性炎症として潰瘍性大腸炎やCrohn病と同列に取り扱われているが,疾患頻度が少ないためであろうか,臨床サイドでは十分に研究されていない点が多い.
予後の良いケースもあるが,逆に難治例も少なくない.腸切除術後も再発し,瘻孔を形成して生活にも支障を来し,Crohn病と同様の末路を辿る.Crohn病の場合は一応の診断基準や治療指針が明確にされており,難治性疾患であってもそれなりの診療手順は確立されている.腸型Behçet病にもBehçet病の一亜型としての診断基準はあるものの,治療法については決め手がない.単純性潰瘍も診断は容易であるが,治療法については首を傾げる.
予後の良いケースもあるが,逆に難治例も少なくない.腸切除術後も再発し,瘻孔を形成して生活にも支障を来し,Crohn病と同様の末路を辿る.Crohn病の場合は一応の診断基準や治療指針が明確にされており,難治性疾患であってもそれなりの診療手順は確立されている.腸型Behçet病にもBehçet病の一亜型としての診断基準はあるものの,治療法については決め手がない.単純性潰瘍も診断は容易であるが,治療法については首を傾げる.
参考文献
1)三浦誠司,小平進,三重野寛治,他.腸管型Behçet病.別冊日本臨牀「消化管症候群」,pp 401-404,日本臨牀社,1994
2)厚生省特定疾患ベーチェット病調査研究班.ベーチェット病診断基準とその手引き.1987
3)星野恵津夫,徳富研二,茂木秀人,他.ベーチェット病の消化管病変.臨牀消化器内科 14 : 1769-1776, 1999
4)多田正大,傍島淳子,清水誠治,他.腸型Behçet 病とsimple ulcerの臨床経過─疾病史からみた腸型Behçet病とsimple ulcerの異同.胃と腸 27 : 313-318, 1992
5)武藤徹一郎.炎症性大腸疾患のスペクトル.医学書院,pp 133-138, 1986
6)武藤徹一郎.いわゆる“Simple Ulcer”とは.胃と腸 14 : 739-748, 1979
7)渡辺英伸,遠城寺宗知,八尾恒良.回盲弁近傍の単純性潰瘍の病理.胃と腸 14 : 749-767, 1979
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