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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻2号

2003年02月発行

文献概要

今月の主題 腸型Behçet病と単純性潰瘍の長期経過 主題

長期経過例からみた腸型Behçet病と単純性潰瘍の病態

著者: 大川清孝1 青松和揆1 青木哲哉1 追矢秀人1 大平美月1 山崎智朗1 中井隆志1 川崎靖子1 加島和俊1 倉井修1 木岡清英1 根引浩子1 岡博子1 岡田範之2 小西啓夫2 西口幸雄3

所属機関: 1大阪市立総合医療センター消化器内科 2大阪市立総合医療センター内科 3大阪市立総合医療センター消化器外科

ページ範囲:P.150 - P.158

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 Behçet病と腸型Behçet病の比較では,前者ではsteroidの投与が半数であり,大部分が少量~中用量の投与であった.後者では全例に投与され,大部分が高用量であった.steroid投与の面からみると後者がより重症であった.腸型Behçet病完全型・不全型と腸型Behçet病疑い・単純性潰瘍の2群に分けて比較検討した.前者では眼病変や副症状がみられるが,後者では全くみられなかった.前者ではBehçet病の経過中に潰瘍が出現したのは2例みられたが,後者では全くみられなかった.腸の潰瘍は前者では大腸に広範囲にみられることが多く,後者では回盲弁上の下掘れ潰瘍が多かった.また,難治例はすべて後者に含まれていた.以上より,両者は病態が異なるものである可能性が高い.すなわち,前者はBehçet病があり,その1病変として腸の潰瘍が出現する,後者は腸病変が先にあり,腸管外症状としてBehçet病の兆候が出現するという可能性が考えられた.しかし,症例数が少なく,観察期間も短いため,今後のさらなる検討が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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