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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻2号

2003年02月発行

文献概要

今月の主題 腸型Behçet病と単純性潰瘍の長期経過 主題

長期経過例からみた腸型Behçet病と単純性潰瘍の病態

著者: 本間照1 岩松宏1 杉村一仁1 小林正明1 佐々木俊也1 米山靖1 佐藤祐一1 松澤純1 鈴木裕1 竹内学1 東谷正来1 青柳豊1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野

ページ範囲:P.173 - P.181

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 単純性潰瘍6例,腸型Behçet病7例(完全型1例,不全型6例)に対し平均5.1年(1~13年)の経過観察を行った.初回,単純性潰瘍と診断された2例(16歳,27歳)で,腸管病変出現とほぼ同時に現れた口腔内アフタに加え,両者ともほぼ1年後に皮膚症状が出現し,不全型Behçet病の基準を満たした.最終診断は単純性潰瘍4例,腸型Behçet病9例で,平均発症年齢はそれぞれ38.2歳,28.4歳,腸管病変診断時年齢は44.0歳,34.6歳といずれも単純性潰瘍が約10歳高齢であった.先行する感冒様症状や経過中の難治性再発性扁桃炎の頻度は両疾患の間に差はみられなかった.単純性潰瘍は,高齢発症し,症状が揃いにくい腸型Behçet病の一亜型として捉えられる可能性が考えられた.腸管病変の内視鏡所見の特徴によって対象症例は4つに分類された.①回盲弁または近傍に単発する2cm以上の大きな辺縁明瞭な打ち抜き様潰瘍,②回盲部に多発する小型円形潰瘍,③回盲弁以外の,大腸の広い範囲にわたって多発する打ち抜き様潰瘍,④回盲部,主に終末回腸に多発するびらん.すべての症例で複数の治療が行われており,回盲弁の変形を伴う①,②の症例では腸管病変の改善はほとんどみられなかったがC回盲弁に病変,変形を認めなかった③,④の症例では保存的治療に反応し軽快した.

参考文献

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2)Lee KS, Kim SJ, Lee BC, et al. Surgical treatment of intestinal Behçet's disease. Yonsei Med J 38 : 455-460, 1997
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4)渡辺英伸,遠城寺宗知,八尾恒良.回盲弁近傍の単純性潰瘍の病理.胃と腸 14 : 749-767, 1979
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7)Lehner T. The role of heat shock protein, microbial and autoimmune agents in the aetiology of Behçet's disease. Int Rev Immunol 14 : 21-32, 1997
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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