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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻2号

2003年02月発行

文献概要

今月の主題 腸型Behçet病と単純性潰瘍の長期経過 主題

長期経過例からみた腸型Behçet病と単純性潰瘍の治療

著者: 山形和史1 石黒陽1 吉池雅美1 棟方昭博1

所属機関: 1弘前大学医学部第1内科

ページ範囲:P.193 - P.199

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 過去に当科で経験した腸型Behçet病(以下,腸型BD)17例と単純性潰瘍3例の計20例の治療内容と経過について検討した.単純性潰瘍は内科治療の反応が得られず,3例全例手術となった.一方,腸型BDの手術例は8例であるが,再手術例はない.また腸型BDの経過は発症時に最も重篤であり,再燃と緩解を繰り返しながら,徐々に鎮静化することが,17例中10例で内視鏡的にも確認された.単純性潰瘍と腸型BDの鑑別は,経過と他の随伴症状から可能であった.疾患entityについては議論のあるところであるが,互いに移行しあう症例はなかった.予後には病変の大きさも関与しているが,腸型BDに関しては原疾患自体の経過と腸管の病勢はほぼ一致しており,他臓器の病変も考慮した疾患自体のコントロールに主眼を置いて問題ないと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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