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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻2号

2003年02月発行

今月の主題 腸型Behçet病と単純性潰瘍の長期経過

主題

腸型Behçet病と単純性潰瘍における難治群の検討

著者: 村野直子1 平田一郎1 村野実之1 年名謙1 新田昌稔1 森田英次郎1 安本真悟1 鹿嶽佳紀1 浜本順博1 林勝吉2 勝健一1

所属機関: 1大阪医科大学第2内科 2石切生喜病院消化器科

ページ範囲:P.201 - P.208

文献概要

 腸型Behçet病と単純性潰瘍における難治群の特徴を明らかにするために,以下の検討を行った.まず,腸型Behçet病では再発率および手術率と腸病変の特徴との関連性について検討した.対象は当科において過去26年間に経験した15例,ならびに過去15年間の本邦報告例の中から病変の肉眼形態,部位の記載が明らかであった50例の計65例である.腸病変の肉眼形態的特徴と部位的特徴をI~V型の5型に分類し,それぞれの再発率,手術率について比較した.再発率,手術率はともに回盲部の打ち抜き潰瘍とその周囲に多発小潰瘍を認めるII型において最も高かった.この結果より,周囲に小潰瘍を併在する打ち抜き潰瘍症例は難治例であると考えられ,同所見を伴う症例では再発,手術などを十分考慮した経過観察が必要と考えられた.次に,単純性潰瘍については当科において経験した7例と過去11年間の本邦報告例48例の計55例を対象とし,再発率,手術率と腸病変の特徴,同疾患の症候との関連性について検討した.単純性潰瘍は全体的に手術率が高く,それに関連する特徴的症候は抽出できなかったが,再発率においては,口腔内アフタを伴う単純性潰瘍の再発率が口腔内アフタを伴わないものの2倍であり,より難治性であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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