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文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻2号

2003年02月発行

文献概要

今月の主題 腸型Behçet病と単純性潰瘍の長期経過 主題

腸型Behçet病と単純性潰瘍の長期経過―腸管合併症を中心に

著者: 小林清典1 勝又伴栄1 吉澤繁1 佐田美和1 五十嵐正広1 西元寺克禮1 大谷剛正2

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科 2北里大学東病院外科

ページ範囲:P.217 - P.227

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 腸型Behçet病(B病)と単純性潰瘍(S病)の長期経過を,腸管合併症に焦点をあて検討した.当院で経験したB病20例とS病21例の中で,腸管合併症を認めたのは各々12例(60%)と7例(33%)で,B病のほうが高頻度な傾向を認めた(p=0.08).腸管合併症ののべ発生件数は27回で,その内容は瘻孔が11回(41%)で最も多く,穿孔はB病にのみ3回認められた.5年以上経過観察しえた16例で,腸病変の経時的推移について検討すると,初回の消化管造影で腸潰瘍が管腔の半周以上を占めるほど大型で,周囲腸管の伸展性も不良の場合は,腸管合併症への進展が有意に高頻度であった.なお長期経過例の外科手術率は69%(11/16例)と高率であり,手術適応の82%(14/17回)を腸管合併症が占めていた.以上の結果より,B病とS病で腸管合併症の頻度や内容が異なるが,両疾患ともに長期経過で腸潰瘍が腸管合併症へ進展し,手術適応となる頻度が高いことが明らかになった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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