icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸38巻2号

2003年02月発行

文献概要

今月の主題 腸型Behçet病と単純性潰瘍の長期経過 主題研究

単純性潰瘍および腸型Behçet病のX線,内視鏡所見の検討―両者の病変分布,多発病変について

著者: 高木靖寛12 八尾恒良1 松井敏幸1 櫻井俊弘1 津田純郎1 田辺寛1 平井郁仁1 八尾建史1 岩下明徳2 原岡誠司2 有馬純孝3

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理部 3福岡大学筑紫病院外科

ページ範囲:P.229 - P.242

文献購入ページに移動
 単純性潰瘍12例と腸型Behçet病6例のX線,内視鏡検査所見から両者の病変の分布および性状について検討し以下の結果を得た.①1例を除く17例が回盲部近傍に定型的病変を有していたが,腸型Behçet病の2例(33.3%),単純性潰瘍の5例(41.7%)は回盲部以外にも病変を有していた.②回盲部以外に病変を認めたもののうち,腸型Behçet病では2例中1例,単純性潰瘍では5例中3例が上部消化管から大腸まで至る広範囲な病変を有していた.③回盲部以外の病変はアフタなどの小病変のみならず全例で透亮像を伴う類円形ないし不整形の明瞭な潰瘍性病変を有していた.④単純性潰瘍では,非定型的部位として十二指腸の下掘れ潰瘍,食道,直腸の打ち抜き潰瘍が1例ずつみられた.以上の結果から,単純性潰瘍も腸型Behçet病と同様に回盲部以外の病巣も多くみられ,さらに広範囲に多彩な病変を呈することが示唆された.

参考文献

1)武藤徹一郎.いわゆる“Simple Ulcer”とは.胃と腸 14 : 739-748, 1979
2)渡辺英伸,遠城寺宗知,八尾恒良.回盲弁近傍の単純性潰瘍の病理.胃と腸 14 : 749-767, 1979
3)飯田三雄,小林広幸,松本主之,他.腸型Behçet病および単純性潰瘍の経過─X線像の推移を中心として.胃と腸 27 : 287-302, 1992
4)押谷伸英,川島大知,稲川誠,他.腸管ベーチェット病および単純性潰瘍の臨床的検討.大腸肛門誌 53 : 116-122, 2000
5)多田正大,傍島淳子,清水誠治,他.腸型Behçet病とsimple ulcerの臨床経過─疾病史からみた腸型Behçet病とsimple ulcerの異同.胃と腸 27 : 313-318, 1992
6)馬場正三.腸型Behçet病の臨床.胃と腸 14 : 885-892, 1979
7)水野幸一,狩谷淳,高野元昭,他.Behçet症候群11例の検討─消化管診断の立場から.臨放 21 : 1133-1144, 1976
8)星野恵津夫,徳富研二,茂木秀人,他.ベーチェット病の消化管病変.臨牀消化器内科 14 : 1769-1776, 1999
9)飯田三雄,檜沢一興,青柳邦彦,他.大腸アフタ様病変のX線学的鑑別診断─アフタ様病変のみから成るCrohn病と他疾患との鑑別を中心に.胃と腸 28 : 397-410, 1993
10)石戸浩之,井上冬彦,中谷慶章,他.術後再発時に直腸にアフタ様病変を認めた回盲部単純性潰瘍の1例.消化器内視鏡の進歩 47 : 198-199, 1995
11)市原隆夫,裏川公章,植松清.回盲弁から離れて散在性に存在する出血性の単純性潰瘍の1手術例.日消外会誌 28 : 1119-1123, 1995
12)多田正大,西脇和善,西村伸治,他.X線学的に長期間経過観察をなしえたintestinal Behçet病の1例.日内会誌 71 : 51-56, 1982
13)太田玉紀,渡辺英伸,味岡洋一,他.腸型Behçet病と腸simple ulcerの病理形態像の推移.胃と腸 27 : 276-285, 1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら